
背中の張りとも闘いながら、勝率第一位のタイトルを獲得した千賀
育成ドラフト出身では史上初の開幕投手さえ視界に入ってきた。今季は22試合に登板し13勝4敗、勝率.765で勝率第一位に輝いた。プロ7年目で初タイトルだった。一流の仲間入りを果たした
千賀滉大には、挑戦する資格がある。
「負けの数が少ないのはチームにとってもいいことだと思う。これからも獲っていきたい賞です」
3月のWBCではチームで唯一、オールWBCチームに選ばれ「世界のSENGA」ともてはやされた。5月に背中の張りを訴え、時には朝、仰向けのままストレッチをしなければ起き上がることさえできなかった。シーズンの内容自体は不本意。ただ、最終登板の10月6日の
オリックス戦(ヤフオクドーム)では、6回3失点も9回に味方打線が1点差を追いつき負けが消え、タイトルが転がり込んできた。
日本シリーズでは「開幕投手」を務めた第1戦(ヤフオクドーム)で7回4安打1失点(自責点0)。日本一への流れを作ったが、福岡での最終決戦では背中の張りを再発させた後悔も残る。「来年はすぐ、背中が痛いとか言わないような体を作りたい」。疲労を抜くことが主な目的だった秋季キャンプも、がむしゃらに体を追い込んだ。
「もっとタイトルが欲しい。先発をやってるので防御率も獲ってみたいです」。今季の防御率は2.64でリーグ3位。背中の張りさえなければ、もっとできたに違いない。その思いは千賀をさらに成長させ、大役にふさわしい投手へと育ててくれるはずだ。
写真=BBM