
悲願の日本一を達成した工藤監督だが、V10へ気を引き締める
間違いなく12球団No.1と言っていい投手王国により、2017シーズンはプロ野球史上5位となる94勝と圧倒的な力を誇示してみせた。
工藤公康監督の頭の中にあるのは日本一連覇とともに、その分厚い投手陣をさらに強化することだ。
「最初から先発で入れる投手はほぼいない。体力をつけるのは大事だけど、上で投げるならリリーフ。石川(柊太)みたいな形で、先発が欠ければ投げさせると思うよ」
最多勝の
東浜巨、勝率第一位の
千賀滉大、13勝の
バンデンハークに、故障はあったものの確実に2ケタ勝利を計算できる
和田毅、
武田翔太と指を折ればすぐに片手は埋まってしまう。この5枚は盤石で、次世代が入り込む隙はない。6枚目も17年に8勝でブレークした
石川柊太が控え、さらに
攝津正、
中田賢一、
寺原隼人ら2ケタ勝利経験者も牙を研いでいる。
田中正義、
高橋純平、
小澤怜史、
笠谷俊介、育成の
長谷川宙輝と他球団ならばローテーション入りも狙える若手はまず、中継ぎで一軍の空気を吸わせ、先発陣に不調や故障者が出ればチャンスを与える。17シーズン、石川が中継ぎから先発起用され、8勝を挙げたのがモデルケースだ。逆に言えば「空席」ができるかどうかは、上が崩れるかどうかの運次第の要素も含んでいる。
「自分が現役で同じ立場だったならば、キツいなと思っちゃうよね(笑)」。通算224勝を挙げた男でさえ、音を上げそうな投手陣。先発にたどり着くまで段階を踏ませることで、才能はより磨かれ、選手層はまた厚くなる。
写真=湯浅芳昭