
「譲らない」と、2年連続5度目の開幕投手に名乗りを上げた和田
サインと言っても形式的なものだ。メジャー・リーグのカブスからFAとなり、古巣
ソフトバンクに復帰した2016年から3年契約。
和田毅は「現状維持」の年俸4億円プラス出来高(金額は推定)で、契約を更改した。交渉の席では球団へチーム単位での環境改善の要望こそ述べたが、自身の主張材料はないに等しかった。
「悔しい1年だった。16年に比べたら全然働くことができなかった。18年も長期離脱すると、長年培ってきた信頼も失う。若い選手が働くと、僕らは消えていってしまう」。来季を37歳で迎える。松坂世代の一員は、大いなる危機感を抱いている。
日本復帰1年目の16年シーズンは、いきなりのパ・リーグ最多15勝。開幕投手として迎えた17年は、左ヒジのクリーニング手術を受け5月に離脱した。シーズントータル8試合登板で4勝。リハビリで福岡県筑後市のファーム施設に通う時期が長かった。
松坂大輔がチームを去り、
巨人・
村田修一も自由契約となるなど、同学年の厳しいニュースが続く。まったくの他人事とは思っていない。「結果が出なければ、どうなるか分からない。いい危機感もあるし、一年一年が勝負。大事な年になる」。
ファーム施設で行う1月の自主トレは
笠谷俊介に加え、2年目となる
田中正義、育成選手も伴う。助言は惜しまない一方で、道を譲る気はさらさらない。「若い選手に負けたくないし、壁になれるように頑張りたい」。開幕投手も、はなから譲るつもりはないという。まさに虎視眈々、といったところだ。
写真=湯浅芳昭