
2017年8月31日にプロ初勝利を挙げるなど、ルーキーイヤーから着実に経験を積んだ
背番号43がマウンドに上がるたびに期待がふくらむ。
151キロ超の速球に、カットボール、スライダー、カーブの変化球をコーナーに突く制球力。昨季8月までに登板したファーム8試合で、33回2/3を投げて自責1、防御率0.27と完成度の高い投球で、抜群の安定感を示すなど、高卒新人右腕が強烈にアピールを続けていた。
すると、8月20日に一軍昇格を果たす。同日の
ロッテ戦(京セラドーム)。舞台を一軍に移しても、臆することなく腕を振り、堂々たるデビューを飾る。最速152キロを計測した直球にスライダー、ツーシームの変化球も巧みに織り交ぜ、相手打線に的を絞らせない。さらに投球の幅を示したのは1点リードの5回表だ。
一死満塁で打席に
井口資仁を迎え、カウントは3-1となるも、捕手のサインに首を振り、スライダーを投じて空振りを奪取。さらにフルカウントからもスライダーを投じて三ゴロ併殺に。変化球の精度の高さも示し、自身に勝敗こそつかなかったが、5回1失点と好投を披露した。
再びロッテ打線と対峙した8月31日(ZOZOマリン)では、5回4安打2失点でプロ初勝利をマーク。9月26日の
日本ハム戦(京セラドーム)の初回には、
大谷翔平を含む3者連続で空振り三振を奪うなど、すでに投じるボールのレベルの高さを証明済みだ。
エース・
金子千尋、
西勇輝、
山岡泰輔らを筆頭に、先発候補が多数ひしめき、熾烈な競争が予想されるが、先発ローテの一角を担えるだけの技量は十分。新人王の資格も残す2年目、20歳の若武者が、
オリックスの次代のエースに躍り出る。
写真=松田杏子