
打撃での力強さも増してきた今宮だが、「つなぐ」という意識を大切にしている
プロ8年目の2017年、
今宮健太は自己最高のシーズンを過ごした。もはや指定席となった5年連続のゴールデン・グラブ賞だけではない。141試合、打率.264、14本塁打、64打点と打撃の3部門すべてにおいてキャリアハイを達成。つなぎ役から、走者を迎え入れる側への転換期にさしかかった。
「もっと上にいけるかどうか左右する年になる。今年もキャリアハイ(の目標)は大事にしたい」
追い求める強い気持ちは年々、大きくなるが、変わらないものもある。昨季、先発では117試合を任された二番打者としての誇り。「自分はそれで試合に出してもらえるようになった。大切にしたい」。
柳田悠岐、
内川聖一、
デスパイネという超強力クリーンアップにかき消されがちだが、7月5日の
オリックス戦(ヤフオクドーム)では
川相昌弘(現
巨人二軍監督)の28歳10カ月を塗り替え、史上最年少となる25歳11カ月で通算250犠打に到達するなど52犠打を転がした。どれだけサク越えを放とうが、つなぎの二番としての自分の特性を捨てるつもりはさらさらない。
シーズン中も試合前には打撃マシンでのバント練習は欠かしたことがなく、失敗した翌日にはコーチに願い出て「生きた球」を投げてもらい、すかさず修正する。代名詞と言える鉄壁の守備に打撃が追いついてきた。「いままでにいないショートというものを作り上げていきたいです」と目標は常に高く持っているが、その根底には「脇役」に徹することのできる二番としてのプロ意識がある。
写真=BBM