
東浜は今春も投げ込みを重ね、フォームを固めていく
ワインドアップから左足を上げた
東浜巨は、軸の右足に体重を乗せ、ややあって前方へ踏み出した。ゆったりとしたフォームは、違反投球ではなくなった2段モーションにも映る投げ方。今春は「フォームを固めるためにゆっくり投げて、リズムを徐々に速くしていく」という方法論をとっている。
今春キャンプは3日目にして100球超を投げた。例年、春は投げ込んでフォームを固めるスタイルだ。プロ4年目の2016年は計1750球。9勝を挙げブレークの土台を築いた。17年も2年連続でチームの最多球数となる計1500球超。1年間、先発の柱を務めて16勝を挙げ、自身初タイトルの最多勝に輝いた。開幕投手の有力候補に挙げられるまでになった今春もスタイルを貫く。「1500球を投げることで(シーズンに)入っていけるし、自分の型ができる」。
亜大時代はキャンプ中に1週間で計1000球超、ときに1日で600球以上を投げたこともある。「大学時代の名残もあると思うけど、がむしゃらに投げることはなくなった」。単に数をこなすことはしていない。「直球だけ」「セットポジション」など、その時々で目的意識はさまざまだ。
肩は消耗品という考えが強まる中では異色とも言える、倉野投手統括コーチは「投げ込むことでフォームが(体に)染み込むタイプ。いろんなタイプがあるけど、基本的には反復練習をしないとフォームは固まらない」と頼もしげだ。量に質を伴わせ、東浜は「もう一つ上のステップ」を目指している。
写真=湯浅芳昭