
渡邉は激しい先発ローテ争いに割って入ることができるか
掘り出し物の予感が漂ってきた。2月18日の台湾・ラミゴ戦。対外試合2戦目の先発に抜てきされたのは、ドラフト5位のルーキー・
渡邉啓太だった。177センチ72キロとプロ野球選手の中で小柄な部類の右腕の株は、右肩上がりで急上昇している。
「初めての対外試合だし、点を与えないことが大事だと思いました。緊張感はあったけど、自分の取り組んでいることはできた」
結果は2回2安打無失点。2回には無死から走者を出したものの、冷静に二ゴロ併殺打に打ち取るなど、経験値の高さも見せた。いわき光洋高から神奈川工大を経て、NTT東日本へ。昨夏の都市対抗では胴上げ投手となり、社会人主体の侍ジャパンの一員にも選ばれるなど一歩一歩、ゆっくりだが成長を続けてきた。
「まだまだ始まったばかりなので、オープン戦でどれだけアピールできるかだと思います」と渡邉。
涌井秀章、
石川歩、
二木康太、
酒居知史、新外国人の
ボルシンガー、
オルモスらに加え、
西野勇士、
藤岡貴裕、
関谷亮太など開幕ローテーション争いは大混戦。ただ
井口資仁監督は、「先発で回したいと思わせるような内容。投手陣の層を厚くしてくれている」とこの24歳を買っている。
外れ1位で3球団が競合した
安田尚憲、遊撃で開幕スタメンの期待もかかる2位の
藤岡裕大といった注目株の陰に隠れ、1月の新人合同自主トレではほとんど目立つことはなかった男が、ほかのルーキーたちの誰よりも大きな注目を浴びようとしている。
写真=上野弘明