
初球からフルスイングできる思い切りの良さが魅力だ
本番さながらに集中力を高めていった。「絶対に走者をかえそうと思っていた」と充実感を漂わせたのは
佐野恵太だ。3月7日の
阪神戦(甲子園)。ともに無得点で迎えた8回一死二、三塁が出番だった。相手投手は侍ジャパンの常連になりつつある右腕・
石崎剛。「カウントが有利になって、思い切りいきました」と、3ボール1ストライクから右前へ先制打を放った。
この試合を終えた時点で、オープン戦は6試合に出場し、9打数5安打の打率.556、1本塁打、5打点。代打の切り札として猛アピールを続けている。
ラミレス監督も「昨年は代打で苦労した。彼がそこを埋めてくれる活躍をしてくれれば……」と期待。存在価値は高まるばかりだ。
2017年にドラフト9位で
DeNAへ入団。セ・リーグの支配下登録選手では最後の指名で滑り込んだ。「野球のことになれば負けず嫌いになる」と闘志をむき出しにし、ルーキーイヤーから開幕一軍入り。18試合で打率.095と苦しんだが、シーズン終了後に渡った台湾のウインター・リーグで打撃開眼させた。
イースタン・リーグ選抜の四番を任され打率.391、5本塁打、18打点で最優秀選手を受賞した。「逆方向への強い打球も増えた」とチームには
筒香嘉智という最高の教材があり、沖縄・宜野湾キャンプでは1日1日を大切に過ごしてきた。一塁、左翼だけでなく、実は捕手をこなせるのも貴重。いい意味で、ラミレス監督を悩ませたいところだ。
写真=早浪章弘