
清田は多くの思いを秘めて今季に臨む
シーズンの開幕にあたって燃えない選手などいないのだが、中でも人一倍気持ちがこもっているのが、9年目の
清田育宏だ。2年目から昨年のオフまで自主トレーニングをともにし、先輩の中でも特に慕っていた
井口資仁が引退。そのまま監督に就任したからだ。
「みんな思っていることだとは思うけれど、井口さんに恥をかかせるわけにはいかない。胴上げする気持ちでやっている」と言葉に力を込める。
加えて、昨季、個人的に味わった悔しさも晴らさねばならない。沖縄での
巨人とのオープン戦で、ダイビングキャッチを試みた際に左肩を脱臼。何とか開幕に間に合わせたものの本調子にはほど遠く、出場79試合で打率.203と本来の実力を発揮できなかった。左肩をかばって右肩や腰にまで痛みが出た。「今まで好きでやっていた野球が、初めて苦しかった。体が言うことを聞かないとこんなに苦しいんだと分かった」と振り返るように、苦汁をなめた。
今春はケアにも力を入れ、2月1日のキャンプインから積極的にアピールを続けていた。しかしオープン戦期間を前に左ふくらはぎを肉離れしてしまった。結局オープン戦には1試合も出られず。開幕2カード目の
オリックス戦(京セラドーム)からようやく一軍に復帰した。
開幕には間に合わなかったが、「開幕戦というのは143試合の中でも特別なものだけど、それだけではないし」。焦って失敗した昨年の教訓を胸に完全復調を待ち、大暴れを期している。
写真=高塩 隆