
藤岡裕は新人王レースの最右翼にいる
即戦力の評判はだてではない。ドラフト2位・
藤岡裕大は3月30日の開幕戦(対
楽天、ZOZOマリン)に「二番・遊撃」で先発。初回無死二塁、左中間二塁打でプロ初安打を記録。さらに左中間三塁打、中前打と球界を代表する楽天・
則本昂大から猛打賞を記録した。本塁打が出ればサイクル安打の衝撃デビューだった。
「ストレートに振り負けないようにすることだけを心掛けました。緊張はありませんでした」
亜大では4年間で6度のリーグ制覇。2、4年時は明治神宮大会で2度、全国制覇した。トヨタ自動車でも1年目に都市対抗、2年目は日本選手権と2度、頂点を極めた男は冷静沈着だった。
アマ時代は体験したことのなかった過密スケジュールに、4月下旬には一時、打率が2割を切ったが、
ロッテが74試合を終えた時点で全試合出場&規定打席に到達しているパのルーキーは藤岡裕ただ一人。打率は.257、二番打者としてもリーグ2位タイの15犠打と、つなぎの役割は
井口資仁監督のチーム方針を体現している。
「腰が回らなくなることもある」。交流戦に入ると連戦の疲労はピークを迎えた。だが、遠征ではチームより1時間以上早く球場入りして治療を行うなど、
平沢大河らを押しのけてつかんだ遊撃のレギュラーポジションは誰にも渡さない覚悟で日々、過ごしている。
「同じルーキーには負けたくない気持ちでやっています」。背番号4が見据えるシーズンのゴールには、新人王のタイトルもぶら下がっている。
写真=BBM