
チーム最多登板の鈴木博。7月7日には初セーブを挙げた
竜のルーキーでただ1人、フル回転を続けている。ドラフト1位の
鈴木博志は、中継ぎでブルペンを支えていた。
新人で唯一、開幕一軍スタートを切った。150キロを超える直球を連発し、130キロ台中盤のカットボールでタイミングを外しながら、打者をねじ伏せてきた。4月21日の
広島戦(ナゴヤドーム)では同点の8回二死二塁で代打・
鈴木誠也と初対戦。カットボールで空振り三振を奪い、ピンチをしのいだ。
「誠也さんが代打で出てくる計算をして準備していました。すごい打者との対戦だったのでワクワクしていた」
続く9回も、コイの「タナキクマル」こと田中、菊池、丸の一~三番トリオを3人で抑えた。プロ初勝利が舞い込んだだけでなく、球団の新人最長記録となる開幕から8試合連続無失点もマークした。
懸念されていたのは疲労の蓄積だった。交流戦に入ると登板8試合すべてで走者を出し、うち6試合で失点した。
「下半身が粘れず、体の開きが早くなって、思うところに投げられなくなってきた」
疲労からフォームも崩していた。交流戦後の投手練習では
朝倉健太投手コーチとマンツーマンで、約1時間にも及ぶ内野ノック。「この間に、あらためて体を作り直して修正したい」と残りのシーズンに備える体に刺激を入れた。
6月28日の
ヤクルト戦(神宮)で、クローザーの
田島慎二が
山田哲人にサヨナラ本塁打を浴びるなど3試合連続でセーブ失敗(2敗)すると、
森繁和監督は「抑え失格」を示唆。そこで白羽の矢が立ったのは、勝ち試合、同点の場面、ビハインドでの登板と、あらゆる場面を経験している鈴木博だ。7月7日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)では、3点リードの9回に登板し初セーブ。翌8日の同戦でも2セーブ目を挙げた。
着実に経験値を蓄える新人右腕。さらなる成長が楽しみだ。
写真=BBM