
貴重な左のセットアッパーとしてモイネロの復調は必須だ
現状を物語る酷なマウンドだった。『鷹の祭典』として開催された7月24日の
ロッテ戦(京セラドーム)。乱打戦の様相の中、2点リードの6回に登板したL.モイネロが誤算だった。先頭打者に死球、後続に連続適時打を浴びてあっさり追いつかれ、一死も取れず降板。チームはこの回、モイネロを含め4投手をつぎ込む形になり一挙4失点。延長12回、今季両リーグ最長5時間45分の乱戦の引き金となってしまい、翌25日、出場選手登録抹消となった。
この時点で
加治屋蓮に次ぐチーム2位の41試合登板。開幕直後からセットアッパー
岩嵜翔、クローザー・
サファテを欠く苦しいブルペン事情の中で奮闘してきたが、防御率5.08に甘んじていた。シーズン途中加入となった昨季は、34試合に登板し防御率2.52。日本一奪回の隠れたキーマンとして岩嵜、サファテの離脱当初は主として8回に投げるセットアッパーだったはずが、先発陣が不安定だったこともあり、それに限らず回またぎや左封じなど場面は幅広かった。開幕から波に乗れず、6月にやや持ち直したものの、7月の防御率13.50。
工藤公康監督は「打たれることはある。信頼して使っている」と送り出してきたが、再調整に踏み切らざるを得なかった。
チームはキューバ出身の左腕ミランダを緊急補強した。右ヒジ手術明けの
スアレスが復帰間近という事情もある。もっとも、貴重な救援左腕であるモイネロの存在は短期決戦を見据えても重要だ。
写真=湯浅芳昭