
ルーキーの藤岡裕は遊撃のポジションを守り続けている
少しずつだが、光が見えてきた。8月14日の
日本ハム戦(札幌ドーム)、0対0で迎えた6回一死二塁。ドラフト2位の
藤岡裕大は中前へ決勝タイムリーを放った。このヒットだけが“光”ではない。この試合、計16のファウルを打った結果、甘く来た外角の直球をとらえたのだ。
「自分の場合は追い込まれると内角を攻められることが多い。それを分かった上で、甘い球をうまく合わせることができました」
3月30日の開幕戦(対
楽天、ZOZOマリン)で3安打デビューした藤岡裕は、開幕前の活躍も加味され新人王候補の筆頭格と目されていた。ただ、4月下旬には打率2割を下回る打撃不振。原因はオープン戦や練習試合ではなかった内角への厳しい攻めだった。
「今思えば、開幕前は投手のほうが実戦感覚をつかむために、力を抜いて投げていた」。苦手の内角を打つのは簡単ではない作業だが、ひたすら粘ることはできる。その対応力は少しずつ磨かれてきている。
貢献はバットだけではない。開幕以降、遊撃でスタメン出場を続けている。ブルペンに入れば最速150キロを記録したこともある強肩はプロでもトップレベルだ。総合力からすれば残り試合の巻き返し次第で、新人王のタイトルもまだ手の届く位置にある。
「(新人王は)結果としてあればラッキーだと思う。ただ、先発で出続けることができた経験は絶対、来年以降に生きてくるはずです」
背番号4は無欲で残るシーズンを全うするつもりだ。
写真=BBM