
打撃フォーム改造で調子を取り戻した
楽天にとって今年最大の発見は、間違いなく
田中和基だ。開幕一軍には残ったものの、あくまで代走や守備固めでの起用を想定してのものだった。しかし、二軍での再調整を経て5月下旬に一軍に復帰すると、一気にブレーク。平石監督代行の下では不動の一番としてチームを引っ張っている。
結果を残しながら、変化も恐れていない。二軍での再調整期間に取り組んだノーステップ打法がはまり、打撃開眼。やや打撃に陰りが見えてきた8月中旬には、
銀次を参考にグリップの位置を下げるフォーム改造に取り組み、再び上昇気流に乗った。意識したのは脱力。「力を入れず、球を見ることに専念しようと。ガチガチに力が入っていると、インサイドにも手が出ない」と肩の力を抜き、持ち味の広角への長打がよみがえった。
昨季は59打席の出場。2年目ながら新人王の有力候補にも挙げられるようになった。9月7日の時点で82試合に出場し打率.287、16本塁打、37打点、20盗塁。3割、20発、20盗塁と高いレベルの数字を射程に入れており、終盤の活躍次第では十分にライバルたちと勝負になる。
ファンの人気も急騰し、球団も8月8日の誕生日には球団史上初めて誕生日記念グッズを発売。名実ともに主力の仲間入りを果たした。「去年はインコースを攻められていたけど、今年はそれを狙うこともでき始めた。バッティングの幅が出てきた」と成長を実感する24歳。攻守走でさらに上のレベルを目指していく。
写真=BBM