
1試合1試合に全力を尽くし、もう一度レギュラーを目指している鳥谷
チームをけん引してきた
鳥谷敬の15年目は、非常に厳しいものとなった。1年前の2017年には生え抜きで通算2000安打も記録し、今季も、もちろんチームリーダー的な存在でいる。
入団以来、ショートのレギュラーを張ってきたが、一昨年途中から若手に譲る形で三塁、二塁と守備位置を転々とした。鳥谷に代わった若手も成績を残せなかったが、慣れないポジションで淡々とプレーを続けた。
開幕は二塁で出場するが、先発が左腕の2戦目はスタメン落ちとなった。もともとがスロースターターだ。
調子が上がらず、4月は打率.143まで落ち込むと出場機会が減少していった。上本が故障離脱し、糸原が頭角を表したことで、鳥谷は6月から再び三塁に回る事態になった。
その6月には月間打率が3割超え、三塁のフィールディングでも好守でチームを盛り立てた。8月18日の
ヤクルト戦(神宮)で15年連続本塁打になる1号を放った。
阪神の大卒1年目からでは
田淵幸一の16年連続が最長だ。
プロ入り後、もっとも遅い本塁打に「喜んでいいのか、悲しんでいいのか」と複雑な心境をにじませたのは印象的だった。
どのポジションでも、いかなる打順でも「ファンのために」と集中力を高め続ける。残り少なくなったシーズンだが、鳥谷は「1試合、1試合です」と静かに闘志を燃やす。その顔には、このままでは終わらないと書いてあった。