
本領発揮はこれからだ
背番号5の復活が、チームに勢いをもたらしている。
川端慎吾は昨季、腰部の椎間板ヘルニアを発症し、同年8月に手術を受けた。プロ入り後に初めて味わった、一軍出場なしの屈辱。そんなどん底から、地道に努力を続けてはい上がってきた。
「朝起きたときに、痛みで動けないときもあった。くしゃみをしても痛かった。患部が固まっている感じでした」
痛みと闘い、リハビリに励んだ。埼玉・戸田球場近くの土手にある階段の上り下りを繰り返す日々。孤独だったが、良くなると信じ、歩みを止めなかった。そんな中で、支えとなったのが家族の存在だ。妻と買い物に出かけたり、夕飯後に息子と散歩に出かけたり。多くの時間をともにした家族のためにも、必ず復活すると心に決めて、手術を決断。そして今季、開幕戦からスタメンに名を連ねた。
頭部死球を受けるなどして二軍調整の期間もあったが、9月30日現在で92試合に出場し、打率.266、3本塁打、30打点。規定打席には到達していないものの、チームを救う活躍を見せている。
7月21日の
中日戦では、同点の9回に自身初のサヨナラアーチとなる決勝の2ラン。「最高です! 思っていたとおりの打球がいきました」と喜びを爆発させた。8月14日の
巨人戦では、サヨナラの2点二塁打。いずれも神宮球場で、試合を決める一打となった。残り試合もわずか。クライマックスシリーズでも、復活した川端のバットがチームを救うはずだ。
写真=BBM