
菅野のバッティングには井口監督も一目置いている
こんなはずではなかった。9月23日。ドラフト4位ルーキーの
菅野剛士が一軍の舞台に戻ってきたのは、福浦が通算2000安打を達成した翌日だった。チームのAクラス争いも
大勢が決した中で、来季を見据えた「育成」の色合いが濃かった。
「一軍の投手は自分が苦手なコースに投げる。甘い球を1球でとらえることが大切だと思った」
明大で東京六大学リーグ記録の28二塁打を放った男は、日立製作所でも侍ジャパン社会人代表入りした。期待どおりにドラフト2位の同期・
藤岡裕大と「六番・左翼」で開幕スタメンに名を連ね、4試合連続安打と絶好のスタートを切った。
だが、次第にベンチを温める時間が多くなる。7月23日には出場選手登録を抹消されて二軍暮らしとなり、フル出場を続ける藤岡は、テレビの画面越しの人になってしまった。
二軍では67試合、打率.270、3本塁打、31打点。心掛けたのは弱点の修正だ。「自分にはバットをこねるクセがあった。こねるからヒットコースに飛ばない。意識して修正しました。今も試しながらやっている」。
冷静に自己分析し、酷暑でふらふらになりながら、レベルスイングを追い求めた。一軍昇格後も安どはなく、日々進歩できるように考え続ける。
「打撃のほうは少しずつ良くなっている。レギュラーを取ってもらわないといけない選手ですからね」と
井口資仁監督。出遅れはしたが、期待度は開幕当初と変わりない。背番号31の巻き返しが始まる。
写真=BBM