
自己最多の67試合に登板し、“左キラー”としての存在感が増している嘉弥真
痛恨の1球で味わった悔しさを、飛躍につなげた。9月24日の
日本ハム戦(ヤフオクドーム)。2点リードの8回に3番手で登板した
嘉弥真新也が、無死一塁から
西川遥輝を一ゴロに仕留めた。後を受けた
加治屋蓮が後続を連続三振に切り、嘉弥真は無失点。「加治屋のおかげです」。そう謙遜したが、6月24日の
オリックス戦(京セラドーム)から続けた連続試合無失点を「31」に伸ばし、2011年に抜群の安定感でセットアッパーを務めた
ファルケンボーグが作った球団記録に肩を並べた。
1球のミスをきっかけに覚醒した。5月24日の
西武戦(ヤフオクドーム)だった。6回二死で走者2人を置き、
秋山翔吾を迎えた場面で登板。“左キラー”と期待されて送り出されたマウンドで、初球のスライダーが甘く入り逆転3ランを食らい、敗戦した。試合後、
工藤公康監督から「自分が何のためにマウンドに上がっているのかを考えて投げてもらわないと」と、辛辣な言葉で奮起を促された。
その悔しさをバネにした。それからは一発のアーチも許さず、7月以降は前述の日本ハム戦まで29試合で失点どころか安打すら3本しか許さない完璧な投球を披露。夏場以降の首位猛追の立役者の1人となった。だが、9月27日の西武戦(メットライフ)。1点リードの8回に二死一、二塁から打席に秋山を迎えた場面で登板すると、再び逆転3ランを浴びた。「(逆転Vへの)雰囲気をぶち壊してしまった……」。球団新記録目前での失点も、必ずや次へとつなげる。
写真=湯浅芳昭