
周りに好影響を振りまき続けた
平成最後の年に、竜のユニフォームを着た“平成の怪物”。その怪物・
松坂大輔は、新天地で後輩たちにあらゆる面で多大な影響を与えた。先発投手としても、お手本ともいえる投球を披露し続けた。
中日の若手投手と明らかに違ったのが、走者を背負った場面での粘り強さ。最悪でも最少失点に抑えてきた。「走者を出しながら抑えるのが僕のスタイル」と松坂。今季11試合で国内12年ぶりの白星を含む、チーム2位タイの6勝(4敗)。防御率3.74の成績を残した。
今季最後の登板となった9月13日の
阪神戦(甲子園)でも、らしさは健在だった。2回無死二、三塁から三者連続で打ち取り、無失点。5回は二死から二、三塁のピンチを背負いながらも、スコアボードには「0」を刻んだ。4回一死三塁では、
陽川尚将に適時二塁打を許して1点を失ったが、後続を断った。5回1失点とゲームメーク。「甲子園という球場が力をくれたのかな」と、横浜高時代に沸かせた球場の力とは言ったが、松坂の能力そのものが光った。
登板以外でも、特に若手に与えた影響は計り知れない。春季キャンプで
小笠原慎之介には「カーブを投げる感覚で真っすぐを投げるように」とアドバイス。横浜高の後輩・
柳裕也に若いころの調整法を聞かれれば「球数を多く投げていたよ」と答えた。シーズン終盤に先発ローテで回った
藤嶋健人には「先発の機会が増えるだろうから、自分の調整をしっかり考えていけよ」と声を掛けた。
日本だけでなく、メジャーでも実績を残した男。チームを勝利に導く以外の貢献度も、非常に大きかった。
写真=BBM