
度重なるケガから復活を果たした岩下
ついに陽の当たる道を歩き始めた。石川・星稜高から入団して4年目の
岩下大輝は、オールスター明けに初めて一軍に昇格すると、1カ月半にわたって中継ぎで16試合に登板して首脳陣の信頼を高めていった。
二軍で調整した後に、10月5日の
楽天戦(楽天生命パーク)で初先発。6回無失点の快投で故郷から呼び寄せた両親に初勝利をプレゼントし、「めちゃくちゃうれしい。それ以外に言葉がないくらい」と喜びに浸った。
中継ぎ時の最速は、先発調整前最後の登板だった9月9日にマークした153キロだった。さすがにそれには及ばないものの、先発でも150キロを何度か計測。「まずは強い真っすぐで押してほしい」と常々語る
井口資仁監督の理想像にマッチする投手と言える。初勝利の内容も考慮した上で、最終戦で2度目の先発機会を与えられたのは、首脳陣の来季への期待の表れだ。
入団してからの3年間は苦労の連続だった。1年目の秋には右ヒジのトミー・ジョン手術を受けている。昨季は腰を痛めてまともに歩けない時期もあった。「腕を思い切り振れるまで戻ったのは今年から。リリースの最後でもう一押しができて147キロが153キロになった」と元気な体を、めいっぱいに躍動させている。
今季限りで退団した
小林雅英投手コーチは先発の適性を見抜いた。恩人は最後に、「中継ぎよりも先発のほうが試合に入りやすそう。体力をつけていったら本当に楽しみ」と優しいエールを送った。
写真=BBM