
日本一決定後、今季限りで退団となった達川光男コーチ(右)との2ショットで笑顔を見せる甲斐
日本列島にインパクトのある『甲斐キャノン』というワードが響き渡った。
広島との日本シリーズ。
甲斐拓也が赤ヘル軍団の機動力を完膚なきまでに封じ込めた。6連続盗塁阻止のシリーズ新記録。比類なき肩で育成ドラフト出身選手としては初のMVPまでかっさらった。
「僕とは思わずにびっくりした。投手が一生懸命クイックやけん制を頑張ってくれたおかげ。(広島の機動力には)不安もあったがこういう形で終われて良かった」
一躍、シリーズで全国区となったが、レギュラーシーズンの活躍から年俸の大幅アップも確実だ。昨季、103試合の出場とブレークを果たすと、900万円から4000万円(金額は推定)へと344%アップの大出世。今季はそれを上回る133試合に出場した。盗塁阻止率.447は堂々の両リーグトップ。日本一への貢献度を踏まえ、2倍増の8000万円から大台の1億円を巡る攻防になりそうだ。
鉄砲肩ばかりに注目が集まるが、甲斐本人は強肩だとは思っていない。「肩は強くない。動作が速いんだと思う」と自己分析。身長170センチと小柄な体格から、素早い動きを見せている。2秒を切れば速いとされる二塁送球で最速1秒7台をマークすることもある。
日米野球の侍ジャパンにも選ばれ、『甲斐キャノン』の名は世界にもとどろいた。バッテリーを組む
千賀滉大に続き、育成からシンデレラストーリーを描いた。契約更改でも大台を突破するだろうか。
写真=BBM