
キャプテンの筒香をはじめ、年下の選手の相談役でもある
世代交代を推し進める
DeNAで、すっかり立場が変わってしまった。「1年勝負、出されたときが勝負だと思う。そこで結果を出さなきゃいけないし、そのために準備するしかない」と視線を上げたのは
石川雄洋だ。
昨年限りで
後藤武敏、
荒波翔らがチームを去り、32歳の若さで野手最年長。「この年になると、何かが格段に伸びるというのは難しい」と冷静さを持ち合わせ、生まれ故郷の静岡を拠点に自主トレを進めている。ユニークな練習メニューの中で「デス鬼ごっこ」と命名するのは、2人一組で走れなくなるまで追いかけっこし、曲線的な動きも取り入れながら敏捷性を養うというもの。「復活」の思いを静かに秘め、キャンプインを迎えた。
自己最多の138試合に出場した2014年をピークに、ここ4年間はすべて100試合を下回った。打撃不振に加え、16年から指揮する
ラミレス監督は若手を積極起用。特に昨年は覚悟を決めたシーズンでもあった。「一軍に呼ばれなかったらクビだな……」と折れそうな気持ちを支えてくれたのは先輩たち。「頑張ろうな」といつも声をかけてくれたのは後藤で、親交のある
ヤクルト・
坂口智隆の姿は頑張る原動力にもなった。
7月に初昇格すると、豊富な経験や小技で貢献。シーズン終了まで降格しなかった。「競争に負けたくないし、チームの力になりたい。チャンスをもらえれば、必死に、前のめりにいきたい」。低迷期も充実期も知る、生え抜きの最古参。背番号「7」を侮るべからず、だ。
写真=大賀章好