
明るい性格であっという間にチームへ溶け込んだバルガス
今季、日本球界では最重量となる133キロを誇る巨体の持ち主バルガスが周囲を驚かせたのが、3月23日の
巨人とのオープン戦(東京ドーム)。左右両打席本塁打を放った。
1発目は2回二死、沢村賞右腕・
菅野智之の133キロのスライダーを右翼席後方にある「ヘーベルハウス」の看板に直撃する推定140メートル弾。8回一死一塁では左腕・
吉川光夫に対して右打席に立つと、カーブを左翼席上部の「IIJmio」の看板にズドンだ。こちらも推定140メートルを飛ばし、人生6度目という左右両打席アーチだ。
「100パーセントでスイングしないように心掛けている。今日は8割くらいだ」。メジャー通算35本塁打を放ち、オフのプエルトリコ・ウインター・リーグではMVP。鳴り物入りで来日したが、オープン戦はこの試合前まで打率.059、1本塁打と日本球界への適応は遅れていた。それでも背番号42は焦りの感情などみじんも見せず、ニコニコ笑って周囲を和ませてきた。
プエルトリコ出身。とにかく陽気なカリビアン。本塁打を放つと両拳で両胸をたたく「ゴリラポーズ」を披露するが、テンションは打てなくても変わることはない。グラウンドでは分け隔てなく、監督、コーチ、選手やスタッフ、報道陣にまで「ハイハイハイ。アミーゴ、アミーゴ。オラオラオラ」とスペイン語であいさつし、瞬時にチームに溶け込んだ。
開幕してからまだ「ゴリラポーズ」は披露できていないが、「練習の成果も出て、状態も上がってきた」。普通は外国人選手に求めるのは打撃が主だが、この男は珍しい一面も持っている。
写真=BBM