
チームの新たな戦術のキーマンになりそうな加藤
前例のない役回りに全力を尽くしている。
加藤貴之が今シーズンから
日本ハムが戦術として導入したショートスターターとしてフル稼働中だ。投手にとって立ち上がりをスッと切り抜けることは簡単なようで難しい。そこを得意とする加藤が開幕から最長3イニング、打者1巡目をメドとした、立ち上がりに特化した仕事を任されている。「初回から全力でいく。今はそれしか考えていない」。先発だが、試合をつくるのではなく、序盤の失点を防いでいい流れをチームに引き寄せるのが仕事だ。
昨季までは試合中盤につかまることも多かった。対戦2巡目以降が課題だったが、あえて長所を前面に押し出す逆転の発想。登板間はブルペンで投球練習もしない。以前より短い間隔で、どんどん試合登板が訪れる難しい調整にも現状は対応できている。短いイニングでも抑え続けることで、どんどん自信も付いてくるはずだ。
勝ち星は付かないが、チームに求められた役割をきっちりこなしているだけに投げたイニング数、数字以上に貢献度は抜群。黙々と献身的に投げ続けるタフなサウスポーは日本プロ野球における先発投手の概念を覆すパイオニアとして、新たなポジションに挑んでいる。
写真=BBM