
まずは先発ローテに定着したい
悔しかった。4月12日、本拠地での
ソフトバンク戦。5回までスコアボードに0を並べてきた
安樂智大が、6回に乱れた。連打と四球で無死満塁のピンチを招く。降板を告げられると、うなだれるように肩を落とした。「6回は投げ切りたかった。中継ぎの方々に申し訳ない」と唇をかんだ。
ただ、満員のファンはベンチに戻る右腕を拍手で称えた。今季2度目の先発で
千賀滉大と堂々の投げ合いを展開。今季初先発となった4月5日の
オリックス戦(京セラドーム)では、
山岡泰輔と投げ合って7回2失点(自責1)と力投した。
平石洋介監督も「想定していた以上の投球」と絶賛。キャンプは二軍スタートながら、先発ローテ入り。その見事に役目を果たしている。
並々ならぬ決意を持って、オフを過ごしてきた。昨季は一軍で2試合に登板し2敗。巻き返しに向け、1日に200メートルダッシュを20本以上こなすなど、地道に下半身を強化してきた。
一方でプロ入り後から続けてきた上半身の筋トレは完全にやめ、可動域を広げるメニューを取り入れた。さらに「右肩を痛めた経験のある方にお話を聞いて、毎日遠投をするようにした」。首脳陣の想定以上に活躍するための準備は、してきたつもりだ。
速球は140キロ前半ながら、低めを丁寧に突く。剛球派から軟投派へイメージチェンジした印象だが、少なくとも昨季はね返された「一軍の壁」は感じない。1年間を通じての先発ローテ死守も、決して夢ではないだろう。
写真=BBM