
3年目の今季は開幕から先発ローテーションで躍動している
最速154キロを誇る
今井達也。直球の質は
西武投手陣の中でも群を抜く。入団時から受けた捕手たちも「球の強さは
菊池雄星(現マリナーズ)投手並。精度は
涌井秀章(現
ロッテ)投手、
岸孝之(現
楽天)投手以上。“抑えて当たり前”という投手になると思う」と絶賛してきた。
2年目の昨年6月、デビュー戦で初勝利を飾った。だが、3戦目。6月30日の楽天戦(メットライフ)で岸と投げ合い、5回一死までに6失点を喫して降板。一方の岸は自慢のカーブを織り交ぜながら、巧みに西武打線を打ち取り7回無失点。実力の差を思い知らされた。試合後、何度も映像を見返すと、学ぶことばかりだった。最も痛感したのが緩急の大事さだ。「岸さんのカーブのように極端に遅い変化球が僕にはない。100キロ前後の球を持っておくことで投球の幅が広がる。いずれ覚えたい」
そして今季、見事に100キロ前後のカーブを習得。それにより、「ベース板から、さらにもうひと伸びする」と言われる自慢の直球が、より一層生きているのである。5月5日の楽天戦(メットライフ)では最速153キロ、最遅94キロと球速差の大きい投球で相手打線を翻弄し、初の完封勝利を飾った。
150キロ超の速球を持ちつつも、本人は「球速に興味はない」と断言。それ以上に、「質の良い球を投げること。引っかけたり、シュート回転せず、しっかりと指にかかった、クセのまったくない、浮き上がるような球を7~8割の力感で投げること」を理想に掲げ、直球の精度向上を追い求めていく。
写真=BBM