
ここまでキャリア最高と言えるシーズンを送っている荻野
球界を代表する「矛と盾」の対決でもあった。5月25日の
ソフトバンク戦(ZOZOマリン)の初回無死一塁。カウント1ボール2ストライクから鈴木が空振り三振に倒れた際、
荻野貴司は二盗を成功させた。球界を代表する強肩捕手・
甲斐拓也の送球は少し左にそれはしたが、ベース上に来てもセーフのタイミングだった。通算183個目の盗塁。失敗はわずかに28で盗塁成功率.867の韋駄天は「甲斐キャノン」でも容易に止めることができなかった。
この盗塁でシーズン10個目となり、入団から10年連続2ケタ盗塁を達成した。この記録は球団では1972~82年に
弘田澄男が達成して以来、史上2人目の快挙となった。過去に一度も規定打席に達していない男だが、飛び抜けた脚力で積み重ねた偉業である。
「自分の感覚では入団時と比べても、そこまでスピードは落ちていない。もっと上げたいと思って日々、やっていますね」
試合前にはミニハードルを使ったトレーニングを欠かさない。「ハードルを使って普段、走っていて刺激の入らない部分に刺激を入れることを心掛けています」。短いダッシュを繰り返し、筋肉の細部まで目覚めさせる。入団以来、毎年のように故障に見舞われてきたが、自慢の脚力だけは人一倍、磨き、進化させてきた。
シーズン自己最多は2013、17年に記録した26盗塁。今季、27個で通算200盗塁の大台に乗る。「そこは目指したい」。例年以上に充実したシーズンを送っている。
写真=BBM