
4年連続2ケタ勝利に到達した千賀
故障者続出で苦しいチームをけん引し、迎えた後半戦。
千賀滉大は思わぬ連敗スタートとなった。リーグ上位の防御率はトップからやや遅れをとった格好だが、奪三振は順調に上積み。18試合登板時点で12球団断トツの162三振を奪っている。故障さえなければ、2017年の勝率第一位に続き2個目のタイトル間違いなしとも言える勢いだ。
今季は開幕戦で161キロをマークする滑り出し。投球の幅を広げるためツーシーム、カットボールも意欲的に配球に取り入れてきた。代名詞のお化けフォークこそ昨季までの精度に及ばず、球数増のきらいはあるものの、総合力で奪三振を量産。「スイッチを入れたいときに入れられている感覚はある」と、勝負球でギアを上げて打者を手玉に取っている。
日本プロ野球新記録も視野に入る。球宴前まで105回138奪三振で、奪三振率11.83。過去に規定投球回に到達してシーズン奪三振率が最も高かったのは1998年の
石井一久(当時
ヤクルト)で、11.05だ。規定投球回未満では16年の
大谷翔平(当時
日本ハム)の奪三振率11.19(140投球回)があるが、前半戦の千賀はそれをも上回るペースだった。
チーム勝敗の色が、より濃くなる後半戦。「イニングを投げたい。完投もしたいし、そのための技術を磨きたい」と、勝敗へのコミットを重視する。
工藤公康監督から「エース」と認められ、名実とも投手陣の屋台骨を背負う年。リーグV奪回をタイトルや快記録で彩れるか。
写真=湯浅芳昭