
開幕から1度も離脱することなく、フル回転の甲斐野
追いすがる獅子をねじ伏せた。8月19日の
西武戦(京セラドーム)。
甲斐野央が1点リードの7回に登板した。一死からの連打でピンチを招いたが、
金子侑司、
木村文紀を連続三振。三者連続三振を奪った18日の同カード(ヤフオクドーム)に続き、連日の奪三振ショーで区切りの20ホールドを挙げた。「ランナーを出したけど、何とかゼロで抑えられて良かった。数字はまだ気にせずにもっとどん欲に積み重ねたい」と満足することなく言い切った。
新天地での輝きは、衝撃のデビュー戦から始まった。3月29日の西武との開幕戦(ヤフオクドーム)。昨季のリーグ王者に対し、延長10回からの2イニングを5奪三振の無失点で退けた。チームがサヨナラ勝ちを収めたことで初登板初勝利。球団では2008年の
久米勇紀以来11年ぶりとなる新人の開幕戦勝利を飾った。「勝ち投手になれるとは思っていなかった。幸せです」。ウイニングボールを手にプロでの第一歩を刻んだ。
そこから、デビューから13試合連続無失点でプロ野球記録を樹立した。もちろん、すべてが順調に運んだわけではない。記録が途切れた試合から3試合連続失点。故障離脱の
森唯斗に代わり守護神を任され、その大変さを思い知ったこともあった。今は貴重なセットアッパーとして、8月29日時点でチーム最多、リーグでも5位タイの53試合に登板、フル回転を続ける。ドラフト1位ルーキーは、新天地でも金看板に偽りない活躍を見せている。
写真=前島 進