
自らの責任を果たすため、努力を惜しまない
打球に気迫が乗り移ったようだった。8月27日の
ロッテ戦(
楽天生命パーク)。2対2で迎えた延長10回。先頭の
茂木栄五郎が、外角低めのフォークをしぶとく右前へ運んだ。
島内の犠打で二進すると、続く浅村が申告敬遠。そして四番・
ブラッシュの26号3ランで、茂木がサヨナラのホームを踏んだ。頼れるリードオフマンが、劇的勝利の口火を切った。
楽天の延長戦はこれで8月8度目となる。疲労がピークに達している中で、2度の降雨中断があった。試合が終わったのは午後10時27分。最後まで集中力を切らさず、土壇場で意地を見せた一番打者は「なんとかしたかった」と充実感をにじませた。
2018年はシーズン前に受けた右ヒジ手術と左肩痛の影響もあって100試合の出場に終わった。打率.247、7本塁打、24打点はいずれも自己ワーストだった。
復活へ向け、今年は「元旦からほぼ休みなく練習していた」とオフから意欲的に振り込んできた。シーズン開幕後は「打率は意識しない。1本でも安打を多く積み重ねることだけを考える。頑張って、粘って、1日1日を大切に」。1打席に集中し続けてきた結果が、9月8日時点で打率.292という好成績につながっている。
シーズン自己最多安打は16、17年の118本も、今季はすでに150本をクリア。「今年はなんとか170本まで持っていきたい」。自らのヒットがチームの勝利につながると信じ、ラストスパートをかける。
写真=BBM