
実力で勝負する
ドラフト6位にもかかわらず、キャンプ前から地元メディアに注目されていたのが
渡邊佳明だ。明大4年秋、首位打者を獲得した逸材。だが注目された理由は、それだけではない。バックボーンによるところが大きかった。
祖父は
中日・
松坂大輔ら多くの名選手を育てた横浜高の渡辺元智前監督。開幕前は「名将の孫」として、注目されることが多かった。しかし、血縁で試合に出られるほどプロは甘くない。当然のことだが、道は実力で切り開いた。
自慢の打撃を生かそうと、キャンプから不慣れな外野の守備にも挑戦。すると5月19日に一軍初昇格。5月23日の
日本ハム戦(札幌ドーム)に「九番・三塁」で初先発を果たすと、5回の第2打席でプロ初安打を放った。
6月以降はレギュラーに定着。バットコントロールも非凡だが、何より光るのが勝負強さだ。9月22日の時点で打率は.232ながら、得点圏では52打数22安打23打点。得点圏打率.423と結果を残している。
チャンスで強い理由について本人は「狙い球を絞っているから。それに尽きますね。仮に変化球を待ったとして、直球が来て三振をしても後悔はしません」と語った。
内外野を守れるユーティリティープレーヤー。
平石洋介監督は「内野もさまざまなポジションを守れて、外野も守れる。そして打撃も粘り強い」と評価する。できることなら、純粋に1人の選手として注目してほしいと思う。間違いなく、
楽天の未来を担う選手の1人だ。
写真=BBM