
2年目こそはと誓っている
球場中から、大きなため息が漏れた。9月23日の
西武戦(
楽天生命パーク)。同点で迎えた8回二死満塁だった。
メヒアが左中間へ走者一掃の二塁打。一気に3点を失うと、チームは3対5で敗れた。
「僕のミスです」と肩を落としたのが、「九番・中堅」で先発した
辰己涼介だった。この場面では自慢の快足を飛ばし、メヒアの飛球に追いついていた。だが左翼の
島内宏明との連係ミスで、打球は目の前にポトリと落ちた。
捕れていれば、勝敗はどうなっていたか分からない。しかもCS進出へ、絶対に負けられない大一番だった。まさに痛恨のミスだったが、辰己は下を向かなかった。「チームとしても個人としても、痛いミス。あんなミスを2度としてはいけない。糧にしないと」。
その宣言どおり、10月5日、
ソフトバンクとのCSファーストの初戦(ヤフオクドーム)では好守を見せた。1点リードの8回一死無走者。途中出場で中堅に入ったドラ1ルーキーが、今宮の放った大飛球にフェンス手前で追いついて捕球。
平石洋介監督が「辰己の守備は、本当に素晴らしい」と絶賛するほどのファインプレーだった。
新人ながら、今季は何度も堅守でチームの窮地を救った。本人も「守備はプロで通用した部分」とある程度の手応えを得たという。だが、現状に甘んじるつもりはない。「打撃を磨かないといけない」。打率.229に終わった打撃を、どう修正できるか。辰己はこの悔しさも糧に、きっとはい上がる。
写真=BBM