
ポジションを問わずチームに貢献した鈴木
2018年はキャプテン制度がなくなった。そして19年はレギュラーの座をなくした。
鈴木大地はどん底からはい上がった。
「今季は1日1日、その日できることを精いっぱいやる。それを考えながらプレーしてきました」
レアードが加入し、三塁は定位置ではなくなった。オフの自主トレで一人、バットを振っているとき、絶望感に押しつぶされそうにもなった。だが気持ちの強い男だ。今季、誰よりも早くグラウンドに入った。三塁側ベンチ前から左翼方向へのロングティー。本拠地では、ほぼ欠かしたことはない。試合後は必ず室内で打ち込んだ。壊れるのではないかと周囲が心配するほど鬼気迫る練習量だった。
打撃だけではなかった。昨季までは二塁、三塁、遊撃しか守ったことはなかったが、今季は初スタメンの一塁や指名打者にも入った。さらに5月29日の
日本ハム戦(札幌ドーム)ではプロ初の左翼も守る。「中2の新チームからショートになったから、それ以来でしたね」。自ら志願し、外野ノックを受けてつかんだ出場機会だった。
開幕6試合目に不慣れな一塁でスタメンをつかむと、そのまま140試合に出場。8月22日の
楽天戦(東京ドーム)でヘッドスライディングをした際、左肩を痛めた影響で打率3割台から降下したが、打率.288、15本塁打、68打点とキャリアハイの数字を記録した。
追い込まれ、もがいた末、息を吹き返したチームリーダー。その存在が、シーズン最終戦までCS進出を争ったチームの原動力になった。
今オフ、国内FA権の行使を表明したが、球団は宣言残留も認める方針。チームに欠かせない存在であることは間違いない。
写真=BBM