
勝ち星よりもシーズンを通して先発ローテを守り切った点が大きく評価される
1年前の今ごろ、
上茶谷大河は重いメッセージを受け取っていた。
DeNAにドラフト1位で指名され、球団から贈られた交渉権確定のクジ。そこには
ラミレス監督の直筆で「11wins next year」と記されていた。目標には届かなかったが、25試合で7勝6敗、防御率3.96の成績。勝ち星、投球回(134回)はいずれも
今永昇太に次ぐもので、即戦力としての期待を裏切ることはなかった。
今季の年俸は1500万円。昨年は同じドラ1の東が11勝を挙げ、新人から入団2年目では球団史上最高額となる年俸5550万円でサインしている。
山崎康晃、今永らも勝ち取ってきた大幅昇給。最低でも3500万円をラインに、バラ色のオフが待っているはずだ。
デビューは開幕4戦目。4月2日の
ヤクルト戦(神宮)で7回1失点と好投した。与えられた背番号は、球団史上唯一の200勝投手・
平松政次と同じ「27」。「チームを代表する番号」と責任感をにじませ、先発として試合をつくることに力を注いだ。
プロ初白星は5月18日のヤクルト戦(神宮)。自身7試合目での難産に「勝つことは難しい……」とプロの厳しさも体感した。そこから7月30日のヤクルト戦(横浜)まで白星街道。球団の新人では初の6連勝も飾った。8月以降にやや調子を落としたが、優勝した1998年以降では最高順位となるリーグ2位に貢献。間違いなく欠かせない戦力だった。2年目のジンクスとも無縁に違いない。エース候補の前途は明るい。
写真=小山真司