
シーズン終盤からポストシーズンと、牧原は攻守で存在感を見せた
初出場の日本シリーズ、
巨人との注目カード。「めっちゃ緊張しました」が本音だったが、
牧原大成がそのセンスを全国のプロ野球ファンに披露した。第1戦(10月19日、ヤフオクドーム)の7回の守備。一死から
大城卓三の中前へ抜けそうなライナーを、横っ跳びで好捕した。「結果を出さないといけない」。打っては2打席目まで三振も、3打席目に二塁打、4打席目に2点適時打。懸命に巻き返し、4連勝への足掛かりを作った。
CSファイナルステージ第4戦からの流れでもあった。2点差に迫られた4回、なお二死一塁で
栗山巧の一、二塁間へのゴロに飛びついて好捕した牧原は、体勢を崩しながらも一塁送球しアウトに。「絶対にそこに来ると思っていた」と読み勝ちの美技だ。7回には先頭・
秋山翔吾の二遊間へのゴロもギリギリのところで好捕。相手の腰を折って4連勝突破に導いた。
育成出身のプロ9年目。開幕スタメン入りした今季は、主力に故障者が相次いだことで、結果的にユーティリティー性が重宝された。本職の二遊間に加え、外野の全ポジションでも先発。捕手2人制となったシーズン終盤は、万が一の事態に備えた「第3の捕手」としての準えもした。
捕手練習の動きを評して
工藤公康監督が「様になっていた」と言うように、野球センスは折り紙付き。今季436打席で10四球と粘るタイプではなく、積極的に打っていくのが本分だが、それが淡泊さとして出た部分もある。来季、不動の定位置を確保するための課題だ。
写真=湯浅芳昭