
今宮の華麗な守備は年を重ねても変わらない
節目となる10年目のシーズンは、
今宮健太にとって今後への分岐点になると言っても過言ではない1年だった。5月上旬にプロ入り後初めてリーグ打率トップに浮上するなど開幕から打撃の好調を維持していたが、左太もも裏痛の影響で6月下旬から約1カ月の離脱。チームは2年連続下克上での日本一に輝いたが、離脱を境に打撃の調子を落として打率.256で終えたショートストップにとっては決して満足できる1年ではなかった。
故障の影響で106試合の出場にとどまったこともあり、13年から5年連続で受賞するなど常連だったゴールデン・グラブ賞も逃した。だが、2年連続で同じ大分の後輩である
西武・
源田壮亮に「栄誉」を譲った悔しさは、意識改革へとつながっている。
主力ながら参加している秋季キャンプでは、
工藤公康監督に弟子入り。「勉強したい。若いときには思ったこともなかったけど、やっぱりケガをしたから」。実働29年の現役生活を送り体のケアや栄養学にも精通している指揮官とマンツーマンでの体幹強化トレーニングを行うなど、秋の宮崎ではケガに強い体づくりを目指して汗を流している。
ケガに強い体を手に入れ、来季は全試合出場を果たした上で「栄誉」も奪い返すつもりだ。「源田は本当にうまい。同じ大分の後輩であんなライバルがいるのはうれしいこと。(来季は)お互いに143試合出て勝負したい。そして勝ちたい」。10年目の悔しさを必ずや“金色のグラブ”奪回につなげる。
写真=湯浅芳昭