
今季は体づくりがメーンで、イースタンでは2試合に投げ、防御率7.20だった(写真は春季キャンプ時)
まだ日中は25度を超える日もあった宮崎・南郷の青く澄んだ秋空の下で、ひときわ精悍な表情で汗を流していたのが育成の
大窪士夢だ。今季の日本人選手最長の198センチの身長を誇る高卒1年目右腕は、初めての一軍キャンプ帯同が「楽しくてたまらない」と話した。日々、自らの成長を実感できているからだ。中でも、
豊田清新一軍投手コーチとの出会いが大きいという。
1年目の今季、「身長を生かせる投げ方」を1シーズンかけて模索してきたが、答えを見つけられずにいた。「自分の中では歩幅が大きいので広くとって、より打者の近くでリリースすることを意識してやっていました」。だが、豊田コーチから「せっかく身長が高いのに沈んで低いところで投げている。それよりも、歩幅を狭くして、上から、上から」と助言を受けた。
実際に試すと、違いは明らかだった。「今までは『少しでも近く、近く』と思えば思うほど全然腕が出てこず、逆に放す位置が遠くなっていた。でも、『狭く、高く』を意識することで、一番球に力が入る位置から投げることができるようになりました」。
大窪のもう1つの武器に「コントロール」がある。制球力といえば現役時代の豊田コーチの代名詞。その部分も秋季キャンプでしっかりと吸収し、さらに磨きたい考えだ。
「自分の中に今までなかった感覚が生まれてきています。このキャンプで教わったことがこれからしっかりと固まっていって、どう変わっていくのか、自分でもすごく楽しみです」
そう話す笑顔は充実感であふれていた。
写真=BBM