
2020年は誰もが認める「四番」になることを誓う井上
2年連続で20本塁打以上を放った。球団の日本人選手としては1998~2000年の
初芝清以来、19年ぶりの快挙。ただ、オフの交渉では500万円しか上がらず、年俸5500万円で契約を更改(金額は推定)。その理由は
井上晴哉自身、一番よく分かっていた。
「四番は誰にも譲りたくない。来季は40本塁打、120打点を目標として頑張りたいと思う」
今季、終わってみれば昨季と同数の24発だった。ただ、中身には満足していない。開幕直後は極度の不振で二軍落ちした。「思うようにいかず、どうやったら(不振から)逃れられるか考えていた」。出場129試合で、一番こだわった「四番」に座ったのは75試合だ。これでは主砲としての仕事を果たしたとは言えなかった。
このオフ、日本選手最重量の井上は決意した。11月下旬から5泊6日の断食合宿に参加。「一番、きつかった。人生終わったかと思った」と振り返る2日目には、空腹のあまり、散歩中にラーメン店の前で声にならない叫び声を上げたこともあったが、どうにか完走。120キロの体重は5キロ減となり、「脳がすっきりした。断食をすると五感が研ぎ澄まされ、ボールが止まったように見えるらしいので期待します」と笑わせた。
2020年へ向けて、一番変わろうとしている男だ。それは単に体重の話だけではない。「井口監督のように背中で伝えられる存在になりたい」。意識は行動になり、行動は人を変える。来季の井上はひと味違うかもしれない。
写真=BBM