
スピード不足が指摘された直球は、最速147キロをマークするまでに成長。先発で自分の居場所をつかみたい
気持ちを切らすことなく、
坂本裕哉は前進を続けている。プロとして初めての「開幕」は再延期が決定。無観客で行ってきた練習試合も3月25日で一時中断となった。
調整の難しさは誰もが感じているはず。ドラフト2位ルーキーは前を向き、目の前の相手に立ち向かった。「相手どうこう言える立場ではない。全球全力」と意気込んだのは21日の
巨人戦(東京ドーム)。先発マウンドに上がり、有言実行の快投を演じた。3回を1安打無失点。初回は坂本を142キロの直球で空振り三振に仕留めた。最速は147キロを計測。2回も中島から3球三振、最後はチェンジアップに手を出させなかった。実戦8イニング連続無失点。好調のままペースを落とさざるを得ないのはもったいないが「与えられたチャンスで信頼してもらえるように、結果を出さないといけない」と言葉に力を込めた。
新人で唯一の一軍キャンプ帯同。「みんな、ある程度は坂本という投手を知っている。俺の力を見せてやろう!とか思い過ぎないことだよ」と優しく助言をくれたのは
今永昇太だった。前のめりになることなく、メリハリある練習法を学習。同じサウスポーの背番号21が「彼は『今永さんがルーキーのときはどうでしたか?』と聞いてくる。フィジカルもメンタルも、段階があることを分かっているのはすごいと思う」と感心するほどだ。
先発陣は今永を軸に
石田健大、
濱口遥大と左腕が充実。立命大の先輩・
東克樹は左ヒジ手術によって長期離脱が決まっているだけに、背負うものは大きいはずだ。「息の長い選手に、日本を代表する左投手になれるように頑張りたい」。開幕先発ローテーション入りは通過点。新鋭のこれからに要注目だ。
写真=高原由佳