
救援で力を発揮できるか
実戦デビューは3月1日の
広島とのオープン戦。無観客だったが、本拠地・ナゴヤドームのマウンドでドラフト2位ルーキー・
橋本侑樹が躍動した。キャンプでは左手親指にマメができた影響で実戦は持ち越しとなったが、
岩瀬仁紀の背番号13を継承した左腕は、堂々たる投球で1回を無失点に抑えた。
目を見張ったのが真っすぐ。広島・
ピレラにヒットこそ許したが、小園、坂倉、長野をいずれも直球でゴロに切って取った。「全体的に力を抜いて、しっかり投げ込めて良かったです」と、心地よさげに汗をぬぐったが、本当に大きな手応えを得た登板だった。
もともと真っすぐとスライダーが武器と自負する左腕。その真っすぐはナチュラルに動くのが持ち味であった。「なぜ動くかは、自分でも分からないんです」と笑うが、プロに入ってうれしい誤算もあった。それが「プロのボールのほうが動く」。より相手打者がとらえづらいボールになった。
与田監督も大きな期待を寄せる。独特の投球フォームについて、「右バッターは出どころが見えない。ずっと見えなくて、いきなりボールが来るから、打ちづらいよ。手の上げ方が(
ソフトバンクの)和田に似ているところがあるね」と言う。当初は先発で期待していたが、リリーフとしての能力の高さも認め、セットアッパー候補の一人として名前を挙げてもいる。
新型コロナウイルスの影響で、開幕が延期されている。調子を維持するのも難しいはずだが、「アピールする機会が増える」と橋本は言う。伸びしろもまだまだある。どのように成長曲線を描くのか、本当に楽しみだ。
写真=BBM