今年7月で31歳を迎えるシーズン。そろそろ打撃タイトル争いに加わるような活躍を見せたいところだ。井上晴哉も「四番は誰にも譲らないというのはある」と看板打者の自負をのぞかせる。
2018年は打率.292、24本塁打、99打点をマークし、プロ5年目でブレークを果たした。だが、さらなる飛躍を期した昨季は、シーズン序盤に大不振に陥った。2年連続で24本塁打を放ったものの、打率.252、65打点で打率と打点は大きく下落。不本意な結果に自分自身に怒りを覚えることもあった。
「『何やってるんだよ』と思っていた。考えすぎてしまう性格なので」
葛藤のシーズンを過ごした。
ただ、思うような結果が出ない中で見えてきたものもある。
「いいときばかりではない。うまくいかないことも人生において大事なことなのかな、と。1日1日を大切にやっていく」
序盤の低迷から抜け出し、後半戦はきっちりと巻き返した。シーズ後の昨年12月には断食を行い、体重が115~116キロをキープ。好不調を経験したからこそ体のケアにも目を向けるようになった。
昨季のパ・リーグ覇者、
西武は
中村剛也、
山川穂高、
森友哉の3選手が100打点を超えた。「優勝するにはそういう数字を出さないと。打率はちょっと分からないけれど、40本塁打、120打点。自分がタイトル争いに入っていかないといけない」と主砲は覚悟をにじませる。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自宅待機の日々が続く中でも「家の庭でバットを振っている。こういう機会なので、4歳の息子にもバットの振り方を教えている。人に教えることで自分の打撃を見つめ直すきっかけになる」と表情は決して暗くない。
今は静かに、必ず訪れる開幕の日に向けて、心と体を整えている。
写真=BBM