広島の大黒柱は先の見えない開幕にも泰然と準備を進めている。本拠地マツダ広島で実施予定だった3月20日
中日との開幕戦のマウンドを託されていた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、延期が続く中でも後ろを向くことはなかった。「決まった試合に備えてやるだけ。そこに体も心も準備していければ」。不安を抱えながらも、前向きな言葉を発し続けてきた。
大瀬良大地は延期で生じた期間を有効活用してきた。縫い目に指を掛けないフォークを試したり、ツインズの
前田健太から伝授されたシュートをテストするなど、新たなチャレンジを続けた。「今までいろいろ試してきたものを、より良いものにしていく時間にしたい」と今後はギアを上げていく。
4月11日には、マツダスタジアムのブルペンで中日を相手に実戦の“仮想登板”を果たした。1イニング15球前後で9セット、インターバルを置きながら146球を投げ切った。内容は9回を1失点にまとめたという。「一度開幕に向けてつくっているので、また落としてつくり直すのも大変」と説明。状態維持に努めてきた。練習が1勤1休になり、制限がかけられる中で、調整のプラン変更を余儀なくされるなど、苦悩の日々が続いた。
延期のたびに開幕投手を託されてきた右腕は「どんなに延びようが思いは変わらず持ち続けると思う。投げるつもりで準備したい」と覚悟は強い。無観客での開幕も決定的な中、「残念ですが、僕たちは与えられた環境でやるしかない。テレビ越しになるかもしれないですけど、ファンの皆さんに良いところをみせられれば」。試行錯誤を重ねながら、開幕へ突き進む。
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