
最大の魅力はやはり飛距離だ
昨季は「逆転の
楽天」と呼ばれるほど劣勢の試合展開をはね返し、何度も勝利をものにした。
三木肇監督が就任した今季も勝利への執念を随所に感じさせる。
印象的だったのが7月19日の
西武戦(楽天生命パーク)だ。先発の
岸孝之が不調で3回途中5失点で降板。3回表終了時点で、4点のビハインド。だが3回裏で1点を返すと、6回には四番・
浅村栄斗の11号ソロで2点差に。そして7回の攻撃が秀逸だった。
平井を攻略し無死満塁のチャンスを作ると、ここでマウンドに上がったのが平良だった。右腕は今季ここまで10試合に登板し、防御率0.00。被安打なしの剛腕の前に
ロメロは空振り三振に倒れた。しかし、続く浅村が中前へ2点適時打を放ち同点に追いつく。
なおも二死満塁の好機で、
内田靖人が平良の155キロ直球を右翼席へ運ぶ。7年目でプロ初のグランドスラムをたたき込み、9対5で逆転勝利をものにした。
昨季は一軍で2試合の出場に終わった内田。右方向への会心の一発は、師匠の教えによってもたらされた。今年1月には、愛媛で浅村の合同自主トレに参加。「右方向へ強く打て」との助言を受け、徹底的にバットを振り込んできた。
実は19日の西武戦前にも浅村から助言を受けた。「軸足のかかとに重心がかかってしまって、外のボールが遠くなる」と問うと、師匠からは「内側に(軸)足を入れてみたら」との答え。浅村の教えも力に、着実に成長を続けている。
「浅村にも感謝。教えを整理して、毎日努力している内田も素晴らしい」と三木監督。未完の大器が、ついに羽ばたく時が来た。
写真=BBM