
自分がやるべきことをしっかりやりながらチームの勝利に向け準備を続ける福留
虎の夏男と言えば
福留孝介だろう。球界最年長のベテランは日米通算22年目になった今シーズンも貴重な働きをみせる。3カ月遅れで開幕した際は「野球ができることは素直にうれしい。覚悟と意識をもっていく」と腹を決めた。
チームの危機を変えたのはこの男だ。7月19日の
中日戦(甲子園)。
ボーアが右でん部の張りで欠場し、福留が代役に回った。
「五番」に入った福留は3安打4打点で、チーム4連勝に貢献する。右翼の守備でも好プレーをみせて攻守に活躍した。
「特に自分がという、あんまり気負いも必要ないと思うし、流れに乗ってやらせてもらっている」
本人のコメントは涼しげだが攻守にプレーは熱い。なにせ6月の月間打率.095が、7月突入後の「ここ」という場面での集中力は凄まじい。
7月26日の中日戦(ナゴヤドーム)でも同点適時打。「前打者のボーアが勝負を避けられた感じだったんで、ナメられてたまるかと思って打席に立った」と頼もしい。
開幕前は「どれだけスタートから勢いをつけられるか」と語ったが、いざフタを開けるとチームは開幕ダッシュに失敗した。
当初は助っ人
サンズの重点起用で打席に立つ機会が少なくなった。7月にはナイター前の鳴尾浜球場で志願してウエスタン戦に出場するなど調整してきた。
43歳で真夏の「親子ゲーム」に出る姿勢はプロを感じさせた。また独特の打撃感覚を持ち続けるための意地でもあった。8月8日の
広島戦(マツダ広島)では好機に凡退してしまったが、チャンスで起用されるほどチームの信頼度は高い。今夏もベテランは健在だ。