
中継ぎとして奮闘を続ける宮川
春季キャンプ中に右太ももを痛め、途中からB班調整となったドラフト1位の
宮川哲。予定どおりの3月開幕であれば二軍スタートが決定的だったが、6月に延期となったことで、無事、開幕に間に合った。社会人出身とあり、即戦力としての活躍が求められているが、その期待どおり開幕からフル稼働を続けている。
ポテンシャルを考えれば、先発ローテーションの一角を担える力は十分あるが、チーム事情も重なり、ここまでは中継ぎでの起用が主となっている。最速153キロの直球でガンガン押して、相手打者を圧倒する強気の投球は好印象。今季は
平良海馬、
ギャレット、
増田達至と勝利パターンの継投が盤石のため、現時点ではビハインドや大量リードの状況での登板が多いが、それでも嫌な流れを止めたいときやリズムを変えたいときなど、徐々にチームのムードに影響を与える“要所”での起用が増えている。
また、ワンポイントや回またぎなど、さまざまな状況に対応可能と使い勝手の良さも魅力。早くも欠かせぬ存在になりつつあり、当然、首脳陣からの信頼も着実に高まっている。
試合前の全体練習の最後、時折見かける、驚きのシーンがある。宮川の行う「遠投」だ。受けるブルペン捕手と右翼から左翼まで思い切り離れ、距離的には125メートルほどはあるだろうか。そこを滞空時間の長い、アーチを描いた投球が、何度も宙を舞う。その圧巻の地肩の強さが、今後への期待をさらにふくらませる。
担当の
竹下潤スカウトは球団の企画『プロ一年生のきみへ』にて、「ライオンズの希望の光である哲には、世の中をパッと明るくするような、そんな豪快なピッチャーになってほしいんだ」とつづっている。広がる可能性は無限大。大成の日が待ち遠しい。
写真=BBM