
三振が取れないと「不調!?」とまで言われてしまうモイネロ
現実的には不可能だろう。だが、シーズンを折り返してもタイトルから「射程圏内」にいるのは事実なのだ。開幕からフル回転でブルペンを支える、キューバ出身左腕のL.モイネロ。投げるたびの奪三振ショーは今季、ファンおなじみの光景となった。
オリックス・
山本由伸が日本人投手新記録となる25イニング連続奪三振をマークして話題となったが、モイネロもなかなかすさまじい。7月22日から8月25日まで、16試合16イニング連続奪三振。その間イニング3奪三振が6度、期間中の奪三振は計35と異次元。8月29日の
日本ハム戦(PayPayドーム)で記録が止まると、SNSは「モイネロが三振取れないなんて」「絶不調」とざわついた。
キューバ代表も含めて出ずっぱりだった昨季の疲れを取りつつも、オフは個人トレーナーの下できっちり走り込んできた。当初のシーズン開幕直前には東京五輪予選出場のため一時離日も、コロナ禍で再来日。さらに開幕延期と振り回されたが、「いつ始まってもいいように準備するだけ」の言葉どおり、6月19日の開幕に合わせた。自己最速更新の158キロもその表れだ。
もともと良かった制球力のさらなる向上を目指していた。「四球を出さない。ボールにする球、ストライクを取る球、しっかり投げ分ける」。与四球20個以下の個人目標は少々厳しい状況だが、補って余りある球威とキレがある。防御率3点台の時期も1度もない安定感。近年の救援投手の奪三振率では2015年にD.
サファテがマークした14.20という数字があるが、モイネロはこれをはるかに上回る数字で推移している。異例のシーズンで「ひと波乱」を期待しているファンも少なくないはずだ。
写真=湯浅芳昭