
夏場に再加速なるか
その背中に、並々ならぬ決意を感じた。日本列島が記録的な猛暑に襲われた8月下旬。最高気温が33度を超えた仙台市の
楽天生命パークで連日、早出特打をこなす選手がいた。
浅村栄斗である。
9月13日の試合終了時点で22本塁打、74打点。本塁打王争いでは、首位の
日本ハム・
中田翔に2本差の2位タイ。打点王争いでは、中田に6差の2位。2冠王も狙える位置につけるチームの主砲が、炎天下の中で若手選手たちに混じって黙々と汗を流していた。
その決意を、結果で示した。早出特打を行った8月27日の
ロッテ戦(楽天生命パーク)。11対0で迎えた8回二死満塁の好機。粘った後の9球目だった。
フローレスの145キロ直球を強振。高々と舞い上がった打球は、バックスクリーンに飛び込んだ。17号グランドスラムで、勝負を決めた。
同29日の
西武戦(楽天生命パーク)では5点ビハインドの4回二死一塁。「うまく反応して打つことができました」と、相手先発・
ノリンのチェンジアップを右翼席に放り込んだ。18号2ランは、球団通算1500号の記念アーチとなった。「先輩方が積み重ねてきた記録だと思います。移籍2年目ですが、そのような記録に携われたことに関しては光栄に思います」と喜びをかみしめた。
シーズン途中、本人がタイトル争いを意識することはないという。今季の目標に掲げるのは「打率3割を打つこと」。13日終了の時点で打率は.292。宣言どおりに打率3割をクリアすれば、タイトル争いに絡む可能性は十分にある。球団では2007年の
山崎武司(43本塁打、108打点)以来13年ぶり2人目となる2冠王も夢ではない。
写真=BBM