
持っている力は疑いようがない。今後、どこまで伸ばしていくか
中心選手として、チームの顔として、勝利に貢献すべく懸命にフィールドに立ち続けている。プロ10年目を迎えた
山田哲人にとって、今季は苦しいシーズンとなっている。それでも、自身の“存在価値”を理解し、プレーで引っ張っている。
世界初となる4度目のトリプルスリー(同一シーズン打率3割、30本塁打、30盗塁)達成を掲げて臨んだ2020年。「勝ちにこだわりたい。優勝したい」と最下位からの逆襲を目指し、先頭に立って戦う覚悟だった。だが、7月27日に上半身のコンディション不良で約4年ぶりに出場選手登録を外れ、2週間以上戦線を離脱。7月は18試合に出場したが、打率.206、0本塁打、6打点、2盗塁と悔しい数字が並んだ。
それでも、抹消期間で状態を整え、8月13日の
巨人戦(東京ドーム)で一軍復帰。徐々に調子を上げていき、同30日の
DeNA戦(横浜)では、今季6号目となる満塁本塁打を含む4安打5打点の活躍を見せ「チームに迷惑ばかりかけていた。今年はそういう年なのかなと思ってしまっていたんですけど……。残りの試合、こういう試合をたくさんできたらと思っています」と充実した表情を見せた。8月は15試合の出場で打率.316、2本塁打、14打点、3盗塁。本来の姿に戻りつつある。
高津臣吾監督も山田哲については「いるといないとでは、こちらの気持ちと向こうのプレッシャーが違うと思う」と存在の大きさを口にしてきた。やはり、浮上のために背番号1は欠かせないのだ。
「諦めずに1試合1試合集中して戦っていきたい」と決意を示す山田哲。言葉どおり、最後まで全力でシーズンを駆け抜ける。
写真=BBM