悔しさをバネに蘇った。中島宏之はプロ18年目を前にした昨年の契約更改で「またユニフォームを着てチャンスをもらえているので、なんとか貢献できるようにしたい」と背水の覚悟を口にした。
強打の遊撃手として日本代表でも活躍した通算1837安打(10月8日終了時点)の右のスラッガーも、
オリックスから移籍した昨季は43試合の出場で打率.148、1本塁打、5打点に終わり、期待に応えることができなかった。オフには野球協約の限度額制限を超える1億3000万円(87パーセント)ダウンの年俸2000万円(金額は推定)で更改。現役生活の瀬戸際に立たされたといってもいい。
そんな中で迎えたオフは、アメリカ・ロサンゼルスで行った自主トレで自身の打撃フォームを測定器で数値化し、グリップを下げる構えに改造。直球に差し込まれがちだった打撃が改善された。春季キャンプから好調を維持し、オープン戦では12球団最多タイの4本塁打。
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ウィーラーが加入したことで先発を外れる試合もあるが、それでも昨季より多くの試合で出番を得て結果を残し、
原辰徳監督ら首脳陣の信頼を取り戻した。
8月14日の
中日戦(東京ドーム)では2試合連続の5号3ランで通算200本塁打を達成。
西武時代に162本、米球界から戻ってオリックスで32本、巨人で6本を放ってたどり着いた節目の記録に「気にしていなかった。コツコツと打って長くやらせてもらってきたので、達成できたかな」と感慨に浸った。
8月に月間打率.362をマークすると、続く9月も.373。9月を終えた時点でシーズン通算打率も.305と3割の大台をキープ(10月8日時点では.299)。大ベテランの復活が、チームの首位快走の一助となっている。
写真=BBM