
長打力も秘めたバッティングで存在感を発揮した渡邉
プロ7年目で初めてシーズンを通して一軍でプレーした。相次ぐ故障に苦しんだプロ入り後だったが、コロナ禍で調整が難しく、前例のない6連戦が続いて肉体的にも厳しい1年ながら、レギュラー二塁手として打線の中軸を担った。開幕前から打率3割には届かなかったが、着実な成長を見せた。
渡邉諒にとってこの1年はステップアップのシーズンと位置付けていたはずだ。2018年シーズン後半に台頭。19年は春季キャンプ中に右ワキ腹を肉離れし、開幕は出遅れたが、初めて規定打席に到達するなど躍進した。昨年の契約更改では「やっとキャリアと言える数字を残せた。でも長年成績を残さないとレギュラーとは言えない」と継続して安定した成績を残すことが、今シーズンの最低限のノルマだった。
その意味では順調にキャリアアップした1年だった。二塁守備はまだミスもあるが、全体的な安定感や守備範囲は広がっている。打撃でも勝負強さや出塁率も向上。ファンからは「直球破壊王子」という異名も定着した。真っすぐを打ち返す際のインパクト音、さらに打球や打撃フォームの力強さは見る者を虜にする不思議な魅惑がある。
最も印象的だったのが、8月8日の
西武戦(札幌ドーム)での
ギャレットとの真っ向勝負。最速162キロの真っすぐで押してくる相手にファウルで粘りながら、最後は9球目の160キロを「破壊」して決勝打。ネームバリューも一気に飛躍した名勝負を繰り広げた。もはやチームに欠かせない戦力に成長した1年だった。
写真=BBM